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国際福祉機器展を視察するスウェーデン高齢者・社会保険担当相のアンナ・テニエ氏(左)=2024年10月3日午後0時21分、東京都江東区、吉備彩日撮影
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 福祉の先進国として知られる北欧スウェーデンは、IT(情報技術)やICT(情報通信技術)の先進国でもあります。新しいテクノロジーを、どのように高齢者のケアに活用しているのか。日本のケアについてはどうみているのか。国際福祉機器展(10月2~4日)にあわせて来日したスウェーデンのアンナ・テニエ高齢者・社会保険担当相が、朝日新聞の単独インタビューに応じました。

 Q スウェーデンの高齢化率は直近で約21%。すでに30%近い日本と比べれば低いですが、今後も徐々に上昇すると予測されています。そのなかで、高齢者のケアにおけるテクノロジーの役割をどう考えていますか。

 A テクノロジーはいろいろな点で重要で、特に長期的なケア、あるいは予防について、それらを支援し強化するうえで重要だと考えています。スウェーデンでは「エイジテック」という言い方をしますが、近年、さまざまな技術を導入してきました。

 Q 「年齢」と「テクノロジー」を組み合わせた造語で、高齢者が抱える課題を新しい技術でサポート、解決していく取り組みですね。たとえばどのようなものでしょう。

 A いろいろありますが、在宅で暮らしている人に薬を服用してもらうために、適量、適時に提供してくれるロボットがあります。

 たとえば認知症の人が、適切に薬を服用するという意味でとても有用ですが、訪問看護をしている看護師などのスタッフにも大いに意味があります。服薬してもらうためだけに片道20キロ、30キロの道を往復するというような必要がなくなり、ほかのことに時間をさくことができるようになります。

 ケアワーカーが行っている重要な仕事を補完するだけでなく、労働環境の改善にもつながるわけです。

 Q 日本では、2040年には認知症の高齢者は584万人になり、初めて推計された軽度認知障害(MCI)の人もあわせれば高齢者のおよそ3人に1人になるという推計が今年5月に発表されました。認知機能の低下が避けられない高齢者に、新しいテクノロジーを利用してもらう難しさはありませんか。

 A すぐれた技術でも、認知機能に障害がある場合には、うまく利用できないこともあります。時間の経過とともに、高齢者の能力が低下していくことは避けられない面もあるわけですから、テクノロジーを個別化していく必要があると考えています。

 Q 個々の高齢者に、より適したものにしていくということでしょうか。

 A エイジテックについては…

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